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つりがね草

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ささめゆき

雪華図説
――『せっかずせつ』って、読むみたいです。
今日、吹雪ちゃんがユキのところへ持ってきてくれた本のタイトルです。
読み方は吹雪ちゃんに教えてもらいました。


今日はお兄ちゃんも知っての通り、たくさんたっくさん雪が降りました!
こんなに雪が降るのは珍しいわーって、海晴お姉ちゃんも言ってたくらいです。
灰色の空からふわりふわりと、数え切れないくないに落ちてくる、雪の粒。
ユキがちょっと目を離した間に、お庭も裏山も、あたり一面がまっしろになってて――
そこでみんなが、雪合戦したり、雪だるまを作ったりするのを――
ユキは、リビングの大きなガラス戸から眺めていました。


夕凪お姉ちゃんが立夏お姉ちゃんに雪玉をぶつけた、その時です。
「ああ、ユキ、いいところに――面白い本が見つかりましたよ」
ユキが振り返ると、そこにはちょっとコウフンした様子の吹雪ちゃんが居ました。
「――吹雪ちゃん?」
だからユキはちょっとびっくりしちゃって――
最初は雪が降ってて嬉しいのかな?って思ったんだけど、
そうじゃなくて、吹雪ちゃんはユキに向かって、一冊のご本を差し出したんです。
それは、なんだかとってもふるーい見た目の本で。
「なにこれ…?」
「雪華図説っていう本なんです。雪の結晶が図解されていて、江戸後期頃に出版された本なんですが、これは復刻版で、ああそれでも結構希少価値の高いものなんですが、まさか我が家の書庫でこれを発見できるとは思いませんでした――」
「せっか、ずせつ?けっしょう?」
「はい」
吹雪ちゃんのきらきらとした瞳が、ユキを見つめます。
ユキは、なんだか、のけぞってしまいます。


春風お姉ちゃんがファンヒーターのスイッチを入れてくれました。
「――ともあれ、ユキ、中を見てください」
「うん……」
吹雪ちゃんに言われるがままに、ユキは本の中を見てみることにします。
ちょっとざらついたような、手触りで。
最初の方のページはなんだかむずかしい言葉がいっぱい書いてあって、
ユキには、読めなくて――
「……?」
「そこじゃなくて、先です」
吹雪ちゃんの手が横から伸びて、ユキの代わりに本のページを捲っていきます。
1ページ、2ページ――
難しい文字のページが終わるとそこには――
綺麗なお花のような模様がたくさん描かれたページが出てきました。
「……わぁ…!」
でも、お花のようで、そうでないような……
なんて言ったらいいのか分からないけど――とにかく、色んなカタチ!
それがいっぱい、描いてあって。


「ユキは、知っていましたか?」
その模様に夢中になっているユキに、吹雪ちゃんは教えてくれます。
「今降っている、あの雪は――実は、拡大してよく見てみると、こういう形をしているんですよ」
「えっ――」
ほんとうに?と、今度はユキが吹雪ちゃんの顔を見つめます。
吹雪ちゃんはガラス戸から、灰色の、今も雪の止まない空を見上げていました。
つられて、ユキも空を見上げて――
「本当です」
「ほんとにほんと?」
「ええ、空の上で雪が出来る時に、自然にこういう氷の結晶を形作るんだそうです」
すごい――すごい、すごいです!
お兄ちゃんは知ってましたか?
あの――小さな小さな雪の粒が、
この本に描かれてるみたいに、綺麗な形をしてるなんて――
ユキは、ユキは――
コウフンしすぎて体調を崩したりしないようにって、おうちの中に居たのに――
胸がドキドキとするのを抑えられませんでした!


――吹雪ちゃんが、もうひとつユキに教えてくれたことがありました。
『せっかずせつ』は、雪の花の形の絵本っていう意味みたいで。
雪の花――
お兄ちゃん。
雪は、花だったんです!


それから――
外で遊び疲れたみんなが帰ってくるまでは、
ううん、みんなが帰ってきた後も――
みんなで、どんな雪の形が好きかのお話をしました。


お兄ちゃんは、どんな雪の形が好きですか?
あとで教えてください――
ユキは、綿雪は、お兄ちゃんの好きな雪の花の姿になれたらいいなって、思います♡

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