つりがね草
- SS置き場です。 9割方BabyPrincessの二次創作になります。
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ネオン・テトラ
北風に追いやられながらも、ようやく帰ってこれた我が家の玄関の前。
手袋を取って腕時計を見ると、もうとっくに0時を回って……はいないけれど、そんな時間。
ふぅ、と、ひとつ。
気分を切り替えるため息を吐いて、私は家のドアを開ける。
「ただいま」
「あ、おかえり海晴姉さん」
リビングから弟くんの声が聞こえてくる。そのすぐ後に顔をのぞかせて、玄関にまで迎えに来てくれる。
(なんだかちょっと犬っぽくて、可愛いのよね)
「外寒かったでしょ?」
「そりゃあ、もう!」
「だよねぇ」
もうみんなとっくに寝ちゃったかな?と思っていたけれど、
弟くんだけは私の帰りをちゃあんと待っていてくれたみたいで。
そういうところも、お姉ちゃんはポイント高いと思ってますよ?
「でも海晴姉なら予報であらかじめわかってたんじゃないの?」
「分かってても寒いものは寒いの!もう……とりあえず手洗いうがいしなきゃ」
「あ、待ってみは姉」
「なあに?」
「みは姉もコーヒー飲む?」
「もちろん!」
普段はめったに飲む機会がないけれど、
弟くんのいれてくれるコーヒーが、私は好き。
もともとうちではあの苦い飲み物を飲むような子が少なくて、
もちろん、大人ぶってコーヒーを飲みたがる子は定期的には出るけれど、それはその時の一回だけで、
いっつも春風ちゃんや蛍ちゃんの淹れてくれる紅茶とか緑茶なんかをみんなで飲んだりして。
そんなお茶が私も弟くんも好きで。
だから、こうしてリビングから漂ってくるコーヒーの匂いを嗅ぐと、私は少しだけどきりとする。
(少し前までの家の中にはあんまり無かった香りだから?)
(弟くんが家に来てくれて新しく変わったことはたくさんあるけれど、これもそのひとつなのかしらね)
そんな風に思って、私はちょっとだけ微笑む。
コートとバッグを部屋に置いて、鏡を覗いてちょっと身支度を整えてから、
寒い廊下は小走りでリビングに戻ると、ちょうど弟くんは私のマグカップにコーヒーをいれてくれていた。
ドリップ式の、インスタントのやつ。電気ケトルからお湯を注いでいて。
せっかく弟くんがいれてくれたものだし、ここはお姉ちゃんぶってブラックのまま、と言いたいところだけど――
さすがに寝る前に飲むものとして相応しくないということで、ミルクは多めに、砂糖も足して。
「はい、海晴姉」
「ありがとー♡」
ミルクが足されて、ちょうどいい感じに温まったマグカップの熱が冷えた、両手にじんわりと伝わって。
「んー…あったかい」
「今日のお仕事とか、どんな感じだった?」
「あ、ちょっと聞いてよ!それがね……?」
――最近は、これが、夜遅く帰ってきた時の私の楽しみ。
弟くんにコーヒーをいれてもらって、
ちょっと愚痴っぽくなっちゃうけど、二人だけで他愛もないことをおしゃべりして、
冬のこんな時期には欠かすことの出来ない、暖かい時間を過ごすこと。
それが些細な私の楽しみ。
「……あ、いけない、もうこんな時間」
「うわ、ほんとだ」
――しゃべりすぎないように気を使わなきゃいけないのが、本当に辛いけど!
「弟くん、おやすみなさい」
「海晴姉も、おやすみ」
他の家族を起こさないように、廊下で弟くんと囁き合って。
「ちゃんと暖かくして寝ないとダメだからね?」
「大丈夫、海晴姉もね!」
ね、弟くん。
暖かくなれるものはさっき十分に貰ったんだけどな。
弟くんも、そうだったら、お姉ちゃんは嬉しいな♡
手袋を取って腕時計を見ると、もうとっくに0時を回って……はいないけれど、そんな時間。
ふぅ、と、ひとつ。
気分を切り替えるため息を吐いて、私は家のドアを開ける。
「ただいま」
「あ、おかえり海晴姉さん」
リビングから弟くんの声が聞こえてくる。そのすぐ後に顔をのぞかせて、玄関にまで迎えに来てくれる。
(なんだかちょっと犬っぽくて、可愛いのよね)
「外寒かったでしょ?」
「そりゃあ、もう!」
「だよねぇ」
もうみんなとっくに寝ちゃったかな?と思っていたけれど、
弟くんだけは私の帰りをちゃあんと待っていてくれたみたいで。
そういうところも、お姉ちゃんはポイント高いと思ってますよ?
「でも海晴姉なら予報であらかじめわかってたんじゃないの?」
「分かってても寒いものは寒いの!もう……とりあえず手洗いうがいしなきゃ」
「あ、待ってみは姉」
「なあに?」
「みは姉もコーヒー飲む?」
「もちろん!」
普段はめったに飲む機会がないけれど、
弟くんのいれてくれるコーヒーが、私は好き。
もともとうちではあの苦い飲み物を飲むような子が少なくて、
もちろん、大人ぶってコーヒーを飲みたがる子は定期的には出るけれど、それはその時の一回だけで、
いっつも春風ちゃんや蛍ちゃんの淹れてくれる紅茶とか緑茶なんかをみんなで飲んだりして。
そんなお茶が私も弟くんも好きで。
だから、こうしてリビングから漂ってくるコーヒーの匂いを嗅ぐと、私は少しだけどきりとする。
(少し前までの家の中にはあんまり無かった香りだから?)
(弟くんが家に来てくれて新しく変わったことはたくさんあるけれど、これもそのひとつなのかしらね)
そんな風に思って、私はちょっとだけ微笑む。
コートとバッグを部屋に置いて、鏡を覗いてちょっと身支度を整えてから、
寒い廊下は小走りでリビングに戻ると、ちょうど弟くんは私のマグカップにコーヒーをいれてくれていた。
ドリップ式の、インスタントのやつ。電気ケトルからお湯を注いでいて。
せっかく弟くんがいれてくれたものだし、ここはお姉ちゃんぶってブラックのまま、と言いたいところだけど――
さすがに寝る前に飲むものとして相応しくないということで、ミルクは多めに、砂糖も足して。
「はい、海晴姉」
「ありがとー♡」
ミルクが足されて、ちょうどいい感じに温まったマグカップの熱が冷えた、両手にじんわりと伝わって。
「んー…あったかい」
「今日のお仕事とか、どんな感じだった?」
「あ、ちょっと聞いてよ!それがね……?」
――最近は、これが、夜遅く帰ってきた時の私の楽しみ。
弟くんにコーヒーをいれてもらって、
ちょっと愚痴っぽくなっちゃうけど、二人だけで他愛もないことをおしゃべりして、
冬のこんな時期には欠かすことの出来ない、暖かい時間を過ごすこと。
それが些細な私の楽しみ。
「……あ、いけない、もうこんな時間」
「うわ、ほんとだ」
――しゃべりすぎないように気を使わなきゃいけないのが、本当に辛いけど!
「弟くん、おやすみなさい」
「海晴姉も、おやすみ」
他の家族を起こさないように、廊下で弟くんと囁き合って。
「ちゃんと暖かくして寝ないとダメだからね?」
「大丈夫、海晴姉もね!」
ね、弟くん。
暖かくなれるものはさっき十分に貰ったんだけどな。
弟くんも、そうだったら、お姉ちゃんは嬉しいな♡
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