つりがね草
- SS置き場です。 9割方BabyPrincessの二次創作になります。
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【SS】星空案内人
ユキ語り部のユキのお話です。
一応処女作のようなそうでないような。
場面的に夜読むのがおすすめ…かもしれません。
=========================================================
音をたてないようにそっとそっと
ユキ達ちっちゃい子は本当はベッドに入ってお休みをしてなきゃいけない、そんな時間――
ユキはこっそりと玄関のドアを開けます。
音をたてないようにそっとそっと――
少しだけ開けたドアから冷たい風が入り込んできて、ユキのお顔を撫でていきます。
「――じゃあみぞ姉、後は任せてもいい?」
「約束の物を忘れるなよ?」
「わかってますって、みぞ姉のほうこそ大丈夫なんですかね?」
「無論だ、そこは任せろ」
「いまいち信用が……」
お兄ちゃんと霙お姉ちゃんは何のお話をしているんでしょう?
お話が終わるまでお兄ちゃんのそばで待っていることにします。
お外を見回すともう真っ暗、見なれたはずの風景が違って見えます。
ユキはこんな真っ暗なときにお外に出たことがほとんどありません。
だからでしょうか――
暗い外を見ているとなんだか心細くなってきてしまって、ついお兄ちゃんの服をつかんでしまいます。
「?」
お兄ちゃんは不思議な顔をしています。
お兄ちゃんの側にいると、ユキのお胸のきゅうっとした苦しさもだんだん無くなってきました。
「じゃあ行ってきます」
「あ、行ってきます!」
お兄ちゃんと霙お姉ちゃんのお話が終わったみたいです。
慌てて霙お姉ちゃんに挨拶をすると、霙お姉ちゃんはひらひらと手をふって家の中に入って行きました。
「それじゃあ綿雪、忘れ物はない?」
「はい、大丈夫です」
ユキが持っていくものはお兄ちゃんと比べてとっても少ないのですが
今日のお兄ちゃんとのお出かけが楽しみで朝から何回も何回も確認したのできっと――
ううん、絶対に大丈夫です。
自分の持っているバッグの重さを確かめて、お兄ちゃんに向かって元気よく答えます。
「よし、それなら行こうか」
お兄ちゃんはユキの手を取って歩きだしました。
ユキはすごくドキドキしています。
だって…今日は――
今日はお兄ちゃんとお星様を見に行くんです!
始まりは、お兄ちゃんの部屋にあった星座早見盤でした。
お兄ちゃんがお部屋のお掃除をしていたら出てきたもので――
それをお兄ちゃんが「俺にはもう必要ないものだし…欲しいならユキにあげようか?」と頂いたものです。
ちょっと古ぼけた、お兄ちゃんの星座早見盤。
濃青色のボードには小さな黄色や白の点が散りばめられていて
その点同士は線で結ばれ、星座を形作っています。
中心には北極星代わりの金色の金具がついていて――
すみっこには、これは…お兄ちゃんの名前でしょうか?
うふふvお兄ちゃんの子供のころの字、とってもかわいいですv
それからユキは、お部屋のベッドの上でずっと星座早見盤を眺めていました。
半透明のボードを電灯に透かすと、ぼうっとボード全体が光って、小さな星が浮き上がって見えて――
なんだかこうしてみると、プラネタリウムのようで
本当に夜空を見ているような気分になってきます。
このボードの上にはこんなにお星様があって、これだけでもとってもきれいなのに――
実際に夜のお空を見たらと思うと、ユキはドキドキが止まりませんでした。
そんなふうにユキがちょっとだけ、お星様に思いをはせている時――
流星群が見られるということを教えてもらいました。
流星群というのは流れ星が、いっぱいお空に流れることを言うそうです。
そんなことがあるなんてユキはちっとも知りませんでした。
そんな素敵な空が見れるなんて、楽しみで、楽しみで――
でも、
ユキはちょっと、楽しみにし過ぎてしまったようです。
ユキはいつもこんなのばっかり…
前日に体調が悪くなってしまって――
結局、ユキは大事をとって、流星群を見ることができませんでした。
お兄ちゃんは――
お兄ちゃんは、そんなユキのために
ユキを「二人きりで、みんなに内緒で星を見に行かないか?」と誘ってくれました。
なんだか色々あったそうですけど……お姉ちゃんたちにちゃんと許可を取ってくれたそうです。
それで今日、お兄ちゃんとお星様を見に行くことが出来るようになりました。
お兄ちゃんは「流れ星はみられないもしれないけど…ごめんね?」とユキに言ってくれて――
そんな、ユキはとっても嬉しいです!
見れなかったのはユキのせいなのに、お兄ちゃんがこんなにしてくれて
それだけでユキはとっても、とっても嬉しくて――
うれしくて、どうしようもなくて泣きそうになりながら言うと、お兄ちゃんはやさしく笑って頭を撫でてくれました。
あったかくて大きなその手で頭を撫でられると、ユキはもう何も言えませんでした。
今日のユキの体調は、もちろんばっちりです。
お天気もばっちり――
きっともうユキの上にはお星様がたくさん光っているのでしょう。
でも、今は毛糸のお帽子を深くかぶって上があんまり見えないようにします。
今見たらなんだかちょっと、もったいないような気がします。
「ユキ寒くない?」
「あ…大丈夫です、ホタお姉ちゃんがいっぱい着せてくれましたから」
お出かけの用意をするときに、風邪をひいたら大変!とホタお姉ちゃんが次から次にお洋服を持ってきて
ユキはなんだかもこもこになってしまいました。
「なんだかユキが一回り大きく見えるような…むしろ暑くない?」
「はい、そっちも大丈夫です。とってもあったかいですよ?」
「よかった。あとは……そうだ、こんな時間だけどユキは眠くない?」
「準備はばっちりです。えへへv春風お姉ちゃんにお願いしてコーヒーを飲ませてもらいましたから」
「コーヒー飲んだんだ!すごいねユキ…苦くなかった?」
「とっても苦くてお砂糖を入れちゃいましたけど…でも、ミルクを入れずに飲んだので眠くないんです!」
「ユキすごく頑張ったなぁ…逆に帰ってきたときに眠れなくなっちゃわないといいけど」
お兄ちゃんが自転車の前かごにお兄ちゃんとユキのカバンを入れて、色々と準備しています。
星が見える場所へは自転車で行くそうです。
ユキはてっきり歩いていくと思っていたので、最初に聞いた時にはビックリしてしまいました。
お兄ちゃんがユキのお願いを覚えていてくれたのがとてもうれしかったです。
荷物を乗せ終わったお兄ちゃんは今度はユキが座るところにクッションをつけています。
「そういえば、お兄ちゃんは霙お姉ちゃんと何をお話してたんですか?」
「ん?あれ?」
お兄ちゃんくすくすと笑って言います。
「はは、あれは『おしるこを買ってこい』って言われてたんだよ。自販機のホットのやつ」
「おしるこ…ですか?」
「うん、家のことはなんとかしておいてやるからその報酬ってこと。まったく霙姉らしいや」
「お家のことって…?」
「あ、いや…それよりユキ!準備できたよ!」
「きゃっ」
お兄ちゃんは急にユキを持ち上げて、クッションを敷いた上に座らせてくれました。
思ってたよりもとっても高くて、ビックリして――お兄ちゃんの手が離せません。
「わ、わ、待ってくださいお兄ちゃん」
「大丈夫だって、ええとね――?」
それからお兄ちゃんは自転車の乗り方を教えてくれました。
「もしもの時はお兄ちゃんがちゃんと捕まえてあげるから手をはなしてごらん?」
「は、はい…」
ちょっと怖いけど…ユキ頑張ります!
「…えいっ!」
……
………倒れてない?倒れてないです!
「お兄ちゃん見てください!倒れてません!」
「だから大丈夫って言ったでしょ?」
「えへへvなんだか急に平気になってきました」
「それならよかった、さて――」
お兄ちゃんがユキの目を覗き込んで言います。
「自転車の準備は良し…ユキ、心の準備はいい?」
「――はい」
ユキは大声にならないように、囁くように答えます。
「よし、お兄ちゃんにちゃんと捕まっててね」
「はい!」
自転車にまたがったお兄ちゃんの背中にぎゅっと抱きつきます。
よし、とお兄ちゃんはユキの手をぽんと叩いて
「それじゃあ出発!」
お兄ちゃんが地面をけった勢いで、ゆっくりと自転車が動き出しました。
自転車の速度はだんだんと早くなって行きます。
自転車に乗って見える風景は、とっても新鮮で
ユキの知っている道なのに全然知らない道に見えて――
ちょっとだけ
ちょっとだけこわいけど、
こうしてお兄ちゃんの背中に抱きついていると
ユキは何でも平気になれる気がします。
お兄ちゃんのおっきな背中――
とってもあったかくて、なんだかすごく安心してしまします。
お兄ちゃんと一緒なら、ユキはどこへ行ってもきっと平気になれる気がします。
お兄ちゃんの背中で前は見えません。
だけど
おしりに道路を走る感触が伝わってきます。
ひゅうひゅうとユキの横を冷たい風が通っていきます。
街灯の光がユキの後ろに流れていきます。
どれもこれもユキが知らなかった世界でした。
なんだかこの自転車が、お兄ちゃんとユキ、ふたり乗りの宇宙船みたいだと考えてしまいます。
ユキ達を乗せて、お兄ちゃんはどんなところにユキを連れていってくれるんでしょうか?
――楽しみですv
ご到着……ユキ、大丈夫だった?」
「ふわぁ…大丈夫です。ほっぺたがぴしぴしします……」
「あはは、ユキほっぺたがりんごみたいに真っ赤だ」
「お兄ちゃんも耳がまっかです」
お兄ちゃんとユキは顔を見合わせていたら、なんだかおかしくなって思わず笑ってしまいました。
「さてユキ、自転車に乗った感想はどうだった?」
「ユキこんなの初めてで、楽しかったです!お兄ちゃんありがとうございます」
「よかった!無理に自転車に乗ってみて良かったよ」
「無理にですか?」
「――さて、ユキ、ここはどこでしょう?」
お兄ちゃんの言葉にあたりを見回すと
「あれ、お兄ちゃん、ここは――いつもの公園ですか?」
そこはユキ達がいつも遊びに行く、近くの公園でした。
でも今はユキ逹以外の人は全くいません。
「正解、ちょっと遠回りしながら来たんだけど。期待しちゃったかな……がっかりした?」
「いえ、そんな!」
ユキは慌てて手をふります。
「あはは、ごめんね?でも――」
お兄ちゃんはユキの手を掴んで公園の真ん中まで一緒に歩きます。
「でもね、ユキは見慣れた風景かもしれないけど……」
お兄ちゃんは空を見ながら言います。
「夜にはまた、違った顔をみせるんだ」
ユキがお兄ちゃんと同じように空に顔を向けると、そこには。
そこには――
「わぁ………!」
そこには、とても、とってもきれいな、
ユキが今までに見たことのないくらいに一番素敵な星空がひろがっていました。
「――すごいです」
思わずため息が出てしまいます。
お話の中で読んだ、どんな空よりもきれいです。
夜空いっぱいの星!
ユキはこんなにお空にお星様がいっぱいあるなんて知りませんでした。
まるで、ユキもお星さまと一緒になっているような――
…
……
どのくらい見上げていたのでしょうか――
ぼうっとお星様を眺めていて、はっと我に帰ります。
あたりをきょろきょろと見回すと、すぐ後ろにお兄ちゃんがいてくれました。
「ユキも体が冷えたろ?あったかい飲み物があるんだ、座って飲もうか?」
座りながら見た方がちょっと楽だよ?と、お兄ちゃんがベンチのほうを見ます。
自転車にもつけていたクッションの上に座ると、お兄ちゃんが隣に座ってカバンからマグを取りだしました。
「はい、ホタが用意してくれたんだ」
注いだコップから白いゆげがふわり、いい香りがします。
ふーふー、よく冷ましてからひとくちこくり。
「んー…おいしいですv」
マグの中身はココアでした。
お姉ちゃん特製のココア、ふんわりと優しい甘さが大好きです。
お外で飲む大好きなココアはなんだかいつもより美味しい気がします。
「今日がこんなによく見える日で良かった。すごいだろ?この公園、星がよく見えるんだ」
空を見上げながら、お兄ちゃんが呟きます。
「ユキは、どうかな、気に入ってくれた?」
「はい、もう、きれいで――ユキ胸がいっぱいです」
「満足してくれたみたいでなにより、やー今日がこんなに晴れてよかった」
お兄ちゃんがベンチに思い切り寄りかかって背を伸ばします。
こうして、ベンチから見る星も素敵で……あっ、そうです。
「お兄ちゃんに貰ったこれ、持ってきたんですよ?」
ユキが持ってきたカバンの中から星座早見盤を取り出します。
月明かりでほんのりと盤の上の星が光っています。
「ユキ準備良いね、じゃあっちのほうが北だから」
お兄ちゃんはボードを回転させて正しい角度にしてくれました。
「これでわかる?」
「ええと――」
お空を見上げても星がいっぱいあって、なんだか目移りしてしまいます。
「じゃ、僭越ながら」
ユキがボードとにらめっこをしていると、お兄ちゃんがユキに顔を近づけてすっと空を指差します。
「一番わかりやすいのからだと――あの明るい星が3つ、並んでるのわかる?」
お兄ちゃんの指の方を追うと、三つ並んでいるお星様がありました。
「あれがオリオン座、あれから…ほら、こんな感じに明るい星を結んで体を作ってさ」
「あっわかりました!」
お兄ちゃんに言われて、星と星の間にユキの頭の中で線が引かれます。
「あれがオリオン座なんですね……なんだか、そう思ったらもう違う形に見えてこないのが不思議です――」
「あはは、不思議とそうなっちゃうよね?でもちょっともったいないから……
じゃあ今度はユキにはどういう風に見えるか聞こうかな?」
ひょいっとお兄ちゃんは、ユキの持っていた星座早見盤を取りあげてしまいました。
「あっ、お兄ちゃん!」
「ごめんね?ちょっと試しに……」
そう言ってお兄ちゃんは盤と夜空を交互に見ながらちょっと考えるような顔をしています。
でも…
「うーんそうだな…例えば、星三つを使った『冬の大三角』って言うのがあるんだけどさ、ユキどれだかわかる?」
「その、ええと…あのオリオン座の左の明るい星と、そこから左の明るい星と、下のあの星……ですよね?」
「大正解!…ってユキ知ってたの?」
お兄ちゃんがちょっと驚いた顔でユキを見ます。
「だってユキは――お家でずっと、その早見盤見てましたから、ちょっとだけ覚えちゃいました」
でも覚えているのはその三角形くらいで、なんだか恥ずかしくて下を向いてしまいます。
そうしていたら、ぽん、とユキの頭にお兄ちゃんに手が置かれました。
「ありがとユキ、そんなに大切にしてくれて、すごくうれしいよ」
やさしくお兄ちゃんが頭を撫でてくれます。
なんだか胸の中がぽかぽかとあったかくなってきます。
「じゃ、もうちょっとだけ星座の話しようか」
「あ……はい」
手が離れて少し残念でしたが、胸の中にまだ温かなものが残っています。
「あの冬の大三角の左のがこいぬ座、したのがおおいぬ座だね」
ぽかぽかとあったかくて――
「おおいぬはオリオンが飼っていた犬で――」
お兄ちゃんが星座の説明をしてくれています。
とっても綺麗な星空の下で
あったかくて甘いココアを飲んで
お兄ちゃんの優しい声――
ああ
ユキは今、とってもしあわせです――…
……
………………
「あれ、ユキ?」
こてんと寄りかかってきたユキのほうを向くと、ユキはすやすやと眠っていた。
「あらら、退屈だったかな…いや、もう限界だったのかも」
時計を見ると、日付変更にはまだまだ十分に時間があるものの
ユキには起きているのがつらいだろう時間になっていた。
コーヒーは効かなかったみたいで――
いや、効いてしまって眠れなくなるよりは良いのかもしれない。
「おやすみ、ユキ」
ユキを起こさないようにそっと背負う。
自転車は置いていくことにしよう。
ユキを背負ったまま自転車を押すのは少々きつい、あとで取りにくればいいだろう。
「さて、ユキが寒がる前にさっさと帰るとしますか」
背中にユキの温かさを感じながら、家への道を速足で歩く。
「お帰り」
「あれ?みぞ姉?」
家も目前、門柱の明かりに照らされて、誰かがいるなぁと思っていたら…
その影はみぞ姉だった。
「どうしたんですみぞ姉?寒くないんですか?」
「いや平気だ――お前が買ってきてくれたものがあれば」
「……ああ、わかりました」
この人はそれだけのために外で待っていたのだろうか。
「おしるこは俺の上着のポケットに入ってます」
よくやった弟よ、とみぞ姉は俺のポケットに手をつっこむ
「この状態で買うの大変だったんですよ…?」
聞いちゃいなかった、みぞ姉はおしるこ缶を俺のポケットから見つけて満足そうだ。
「お前も疲れただろう、ユキは私がベッドまで連れて行こう」
おしるこ缶が熱くなければ、それに頬ずりしてそうな霙姉がそんな提案をする。
「あとちょっとなんで俺が連れていきますよ、ユキも起きるかもしれないですし…」
「いやよく寝ている、大丈夫だろう、おしるこのお礼だ」
そう言うとみぞ姉は背中のユキをするりと受けとる。
さすがに年長者なだけあってこのあたりの子供の扱い方は上手だった。
背中にあった暖かさが無くなって、ちょっとさびしく思っている間にみぞ姉は玄関へと向かっていってしまった。
慌てて後を追いかけようとしたその時。
「ああそうだ、言い忘れていたが――」
玄関のドアに手をかけたみぞ姉がこっちを振り向く
「すまん、ばれた」
「……え?」
あっさりと言い放ったその言葉の意味は、直後みぞ姉が開けたドアの中を見て理解した。
「ユキ!と霙姉様、お帰りなさい」
そこには氷柱がいた、仁王立ちで、気のせいでなければ後ろに鬼も見える。
「ああただいま、私はこのまま綿雪をベッドまで運んで行くが、氷柱はどうする?」
「私もすぐ行くわ……ちょっと下僕と話をしてからね」
「すぐ――か、まあこの時間だ。大声を出さないようにな?」
「ええ――」
ドアが閉められて、玄関から漏れていた暖かい家の光と話し声が途切れる。
ひとりで立つ玄関はとても淋しかった。
言い忘れていたってみぞ姉、おしるこを先に奪っておいて……
……はぁ。
さて、覚悟を決めますか。
このまま寒空の下に立っていても仕方がない。
ドアの取手に手をかける、異様に重たく感じる。
鍵をかけられていないだけありがたいかも、と思っている自分がそこにいた。
「おかえり下僕――なにか言うことは?」
「……ただいま氷柱」
(終)
一応処女作のようなそうでないような。
場面的に夜読むのがおすすめ…かもしれません。
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音をたてないようにそっとそっと
ユキ達ちっちゃい子は本当はベッドに入ってお休みをしてなきゃいけない、そんな時間――
ユキはこっそりと玄関のドアを開けます。
音をたてないようにそっとそっと――
少しだけ開けたドアから冷たい風が入り込んできて、ユキのお顔を撫でていきます。
「――じゃあみぞ姉、後は任せてもいい?」
「約束の物を忘れるなよ?」
「わかってますって、みぞ姉のほうこそ大丈夫なんですかね?」
「無論だ、そこは任せろ」
「いまいち信用が……」
お兄ちゃんと霙お姉ちゃんは何のお話をしているんでしょう?
お話が終わるまでお兄ちゃんのそばで待っていることにします。
お外を見回すともう真っ暗、見なれたはずの風景が違って見えます。
ユキはこんな真っ暗なときにお外に出たことがほとんどありません。
だからでしょうか――
暗い外を見ているとなんだか心細くなってきてしまって、ついお兄ちゃんの服をつかんでしまいます。
「?」
お兄ちゃんは不思議な顔をしています。
お兄ちゃんの側にいると、ユキのお胸のきゅうっとした苦しさもだんだん無くなってきました。
「じゃあ行ってきます」
「あ、行ってきます!」
お兄ちゃんと霙お姉ちゃんのお話が終わったみたいです。
慌てて霙お姉ちゃんに挨拶をすると、霙お姉ちゃんはひらひらと手をふって家の中に入って行きました。
「それじゃあ綿雪、忘れ物はない?」
「はい、大丈夫です」
ユキが持っていくものはお兄ちゃんと比べてとっても少ないのですが
今日のお兄ちゃんとのお出かけが楽しみで朝から何回も何回も確認したのできっと――
ううん、絶対に大丈夫です。
自分の持っているバッグの重さを確かめて、お兄ちゃんに向かって元気よく答えます。
「よし、それなら行こうか」
お兄ちゃんはユキの手を取って歩きだしました。
ユキはすごくドキドキしています。
だって…今日は――
今日はお兄ちゃんとお星様を見に行くんです!
始まりは、お兄ちゃんの部屋にあった星座早見盤でした。
お兄ちゃんがお部屋のお掃除をしていたら出てきたもので――
それをお兄ちゃんが「俺にはもう必要ないものだし…欲しいならユキにあげようか?」と頂いたものです。
ちょっと古ぼけた、お兄ちゃんの星座早見盤。
濃青色のボードには小さな黄色や白の点が散りばめられていて
その点同士は線で結ばれ、星座を形作っています。
中心には北極星代わりの金色の金具がついていて――
すみっこには、これは…お兄ちゃんの名前でしょうか?
うふふvお兄ちゃんの子供のころの字、とってもかわいいですv
それからユキは、お部屋のベッドの上でずっと星座早見盤を眺めていました。
半透明のボードを電灯に透かすと、ぼうっとボード全体が光って、小さな星が浮き上がって見えて――
なんだかこうしてみると、プラネタリウムのようで
本当に夜空を見ているような気分になってきます。
このボードの上にはこんなにお星様があって、これだけでもとってもきれいなのに――
実際に夜のお空を見たらと思うと、ユキはドキドキが止まりませんでした。
そんなふうにユキがちょっとだけ、お星様に思いをはせている時――
流星群が見られるということを教えてもらいました。
流星群というのは流れ星が、いっぱいお空に流れることを言うそうです。
そんなことがあるなんてユキはちっとも知りませんでした。
そんな素敵な空が見れるなんて、楽しみで、楽しみで――
でも、
ユキはちょっと、楽しみにし過ぎてしまったようです。
ユキはいつもこんなのばっかり…
前日に体調が悪くなってしまって――
結局、ユキは大事をとって、流星群を見ることができませんでした。
お兄ちゃんは――
お兄ちゃんは、そんなユキのために
ユキを「二人きりで、みんなに内緒で星を見に行かないか?」と誘ってくれました。
なんだか色々あったそうですけど……お姉ちゃんたちにちゃんと許可を取ってくれたそうです。
それで今日、お兄ちゃんとお星様を見に行くことが出来るようになりました。
お兄ちゃんは「流れ星はみられないもしれないけど…ごめんね?」とユキに言ってくれて――
そんな、ユキはとっても嬉しいです!
見れなかったのはユキのせいなのに、お兄ちゃんがこんなにしてくれて
それだけでユキはとっても、とっても嬉しくて――
うれしくて、どうしようもなくて泣きそうになりながら言うと、お兄ちゃんはやさしく笑って頭を撫でてくれました。
あったかくて大きなその手で頭を撫でられると、ユキはもう何も言えませんでした。
今日のユキの体調は、もちろんばっちりです。
お天気もばっちり――
きっともうユキの上にはお星様がたくさん光っているのでしょう。
でも、今は毛糸のお帽子を深くかぶって上があんまり見えないようにします。
今見たらなんだかちょっと、もったいないような気がします。
「ユキ寒くない?」
「あ…大丈夫です、ホタお姉ちゃんがいっぱい着せてくれましたから」
お出かけの用意をするときに、風邪をひいたら大変!とホタお姉ちゃんが次から次にお洋服を持ってきて
ユキはなんだかもこもこになってしまいました。
「なんだかユキが一回り大きく見えるような…むしろ暑くない?」
「はい、そっちも大丈夫です。とってもあったかいですよ?」
「よかった。あとは……そうだ、こんな時間だけどユキは眠くない?」
「準備はばっちりです。えへへv春風お姉ちゃんにお願いしてコーヒーを飲ませてもらいましたから」
「コーヒー飲んだんだ!すごいねユキ…苦くなかった?」
「とっても苦くてお砂糖を入れちゃいましたけど…でも、ミルクを入れずに飲んだので眠くないんです!」
「ユキすごく頑張ったなぁ…逆に帰ってきたときに眠れなくなっちゃわないといいけど」
お兄ちゃんが自転車の前かごにお兄ちゃんとユキのカバンを入れて、色々と準備しています。
星が見える場所へは自転車で行くそうです。
ユキはてっきり歩いていくと思っていたので、最初に聞いた時にはビックリしてしまいました。
お兄ちゃんがユキのお願いを覚えていてくれたのがとてもうれしかったです。
荷物を乗せ終わったお兄ちゃんは今度はユキが座るところにクッションをつけています。
「そういえば、お兄ちゃんは霙お姉ちゃんと何をお話してたんですか?」
「ん?あれ?」
お兄ちゃんくすくすと笑って言います。
「はは、あれは『おしるこを買ってこい』って言われてたんだよ。自販機のホットのやつ」
「おしるこ…ですか?」
「うん、家のことはなんとかしておいてやるからその報酬ってこと。まったく霙姉らしいや」
「お家のことって…?」
「あ、いや…それよりユキ!準備できたよ!」
「きゃっ」
お兄ちゃんは急にユキを持ち上げて、クッションを敷いた上に座らせてくれました。
思ってたよりもとっても高くて、ビックリして――お兄ちゃんの手が離せません。
「わ、わ、待ってくださいお兄ちゃん」
「大丈夫だって、ええとね――?」
それからお兄ちゃんは自転車の乗り方を教えてくれました。
「もしもの時はお兄ちゃんがちゃんと捕まえてあげるから手をはなしてごらん?」
「は、はい…」
ちょっと怖いけど…ユキ頑張ります!
「…えいっ!」
……
………倒れてない?倒れてないです!
「お兄ちゃん見てください!倒れてません!」
「だから大丈夫って言ったでしょ?」
「えへへvなんだか急に平気になってきました」
「それならよかった、さて――」
お兄ちゃんがユキの目を覗き込んで言います。
「自転車の準備は良し…ユキ、心の準備はいい?」
「――はい」
ユキは大声にならないように、囁くように答えます。
「よし、お兄ちゃんにちゃんと捕まっててね」
「はい!」
自転車にまたがったお兄ちゃんの背中にぎゅっと抱きつきます。
よし、とお兄ちゃんはユキの手をぽんと叩いて
「それじゃあ出発!」
お兄ちゃんが地面をけった勢いで、ゆっくりと自転車が動き出しました。
自転車の速度はだんだんと早くなって行きます。
自転車に乗って見える風景は、とっても新鮮で
ユキの知っている道なのに全然知らない道に見えて――
ちょっとだけ
ちょっとだけこわいけど、
こうしてお兄ちゃんの背中に抱きついていると
ユキは何でも平気になれる気がします。
お兄ちゃんのおっきな背中――
とってもあったかくて、なんだかすごく安心してしまします。
お兄ちゃんと一緒なら、ユキはどこへ行ってもきっと平気になれる気がします。
お兄ちゃんの背中で前は見えません。
だけど
おしりに道路を走る感触が伝わってきます。
ひゅうひゅうとユキの横を冷たい風が通っていきます。
街灯の光がユキの後ろに流れていきます。
どれもこれもユキが知らなかった世界でした。
なんだかこの自転車が、お兄ちゃんとユキ、ふたり乗りの宇宙船みたいだと考えてしまいます。
ユキ達を乗せて、お兄ちゃんはどんなところにユキを連れていってくれるんでしょうか?
――楽しみですv
ご到着……ユキ、大丈夫だった?」
「ふわぁ…大丈夫です。ほっぺたがぴしぴしします……」
「あはは、ユキほっぺたがりんごみたいに真っ赤だ」
「お兄ちゃんも耳がまっかです」
お兄ちゃんとユキは顔を見合わせていたら、なんだかおかしくなって思わず笑ってしまいました。
「さてユキ、自転車に乗った感想はどうだった?」
「ユキこんなの初めてで、楽しかったです!お兄ちゃんありがとうございます」
「よかった!無理に自転車に乗ってみて良かったよ」
「無理にですか?」
「――さて、ユキ、ここはどこでしょう?」
お兄ちゃんの言葉にあたりを見回すと
「あれ、お兄ちゃん、ここは――いつもの公園ですか?」
そこはユキ達がいつも遊びに行く、近くの公園でした。
でも今はユキ逹以外の人は全くいません。
「正解、ちょっと遠回りしながら来たんだけど。期待しちゃったかな……がっかりした?」
「いえ、そんな!」
ユキは慌てて手をふります。
「あはは、ごめんね?でも――」
お兄ちゃんはユキの手を掴んで公園の真ん中まで一緒に歩きます。
「でもね、ユキは見慣れた風景かもしれないけど……」
お兄ちゃんは空を見ながら言います。
「夜にはまた、違った顔をみせるんだ」
ユキがお兄ちゃんと同じように空に顔を向けると、そこには。
そこには――
「わぁ………!」
そこには、とても、とってもきれいな、
ユキが今までに見たことのないくらいに一番素敵な星空がひろがっていました。
「――すごいです」
思わずため息が出てしまいます。
お話の中で読んだ、どんな空よりもきれいです。
夜空いっぱいの星!
ユキはこんなにお空にお星様がいっぱいあるなんて知りませんでした。
まるで、ユキもお星さまと一緒になっているような――
…
……
どのくらい見上げていたのでしょうか――
ぼうっとお星様を眺めていて、はっと我に帰ります。
あたりをきょろきょろと見回すと、すぐ後ろにお兄ちゃんがいてくれました。
「ユキも体が冷えたろ?あったかい飲み物があるんだ、座って飲もうか?」
座りながら見た方がちょっと楽だよ?と、お兄ちゃんがベンチのほうを見ます。
自転車にもつけていたクッションの上に座ると、お兄ちゃんが隣に座ってカバンからマグを取りだしました。
「はい、ホタが用意してくれたんだ」
注いだコップから白いゆげがふわり、いい香りがします。
ふーふー、よく冷ましてからひとくちこくり。
「んー…おいしいですv」
マグの中身はココアでした。
お姉ちゃん特製のココア、ふんわりと優しい甘さが大好きです。
お外で飲む大好きなココアはなんだかいつもより美味しい気がします。
「今日がこんなによく見える日で良かった。すごいだろ?この公園、星がよく見えるんだ」
空を見上げながら、お兄ちゃんが呟きます。
「ユキは、どうかな、気に入ってくれた?」
「はい、もう、きれいで――ユキ胸がいっぱいです」
「満足してくれたみたいでなにより、やー今日がこんなに晴れてよかった」
お兄ちゃんがベンチに思い切り寄りかかって背を伸ばします。
こうして、ベンチから見る星も素敵で……あっ、そうです。
「お兄ちゃんに貰ったこれ、持ってきたんですよ?」
ユキが持ってきたカバンの中から星座早見盤を取り出します。
月明かりでほんのりと盤の上の星が光っています。
「ユキ準備良いね、じゃあっちのほうが北だから」
お兄ちゃんはボードを回転させて正しい角度にしてくれました。
「これでわかる?」
「ええと――」
お空を見上げても星がいっぱいあって、なんだか目移りしてしまいます。
「じゃ、僭越ながら」
ユキがボードとにらめっこをしていると、お兄ちゃんがユキに顔を近づけてすっと空を指差します。
「一番わかりやすいのからだと――あの明るい星が3つ、並んでるのわかる?」
お兄ちゃんの指の方を追うと、三つ並んでいるお星様がありました。
「あれがオリオン座、あれから…ほら、こんな感じに明るい星を結んで体を作ってさ」
「あっわかりました!」
お兄ちゃんに言われて、星と星の間にユキの頭の中で線が引かれます。
「あれがオリオン座なんですね……なんだか、そう思ったらもう違う形に見えてこないのが不思議です――」
「あはは、不思議とそうなっちゃうよね?でもちょっともったいないから……
じゃあ今度はユキにはどういう風に見えるか聞こうかな?」
ひょいっとお兄ちゃんは、ユキの持っていた星座早見盤を取りあげてしまいました。
「あっ、お兄ちゃん!」
「ごめんね?ちょっと試しに……」
そう言ってお兄ちゃんは盤と夜空を交互に見ながらちょっと考えるような顔をしています。
でも…
「うーんそうだな…例えば、星三つを使った『冬の大三角』って言うのがあるんだけどさ、ユキどれだかわかる?」
「その、ええと…あのオリオン座の左の明るい星と、そこから左の明るい星と、下のあの星……ですよね?」
「大正解!…ってユキ知ってたの?」
お兄ちゃんがちょっと驚いた顔でユキを見ます。
「だってユキは――お家でずっと、その早見盤見てましたから、ちょっとだけ覚えちゃいました」
でも覚えているのはその三角形くらいで、なんだか恥ずかしくて下を向いてしまいます。
そうしていたら、ぽん、とユキの頭にお兄ちゃんに手が置かれました。
「ありがとユキ、そんなに大切にしてくれて、すごくうれしいよ」
やさしくお兄ちゃんが頭を撫でてくれます。
なんだか胸の中がぽかぽかとあったかくなってきます。
「じゃ、もうちょっとだけ星座の話しようか」
「あ……はい」
手が離れて少し残念でしたが、胸の中にまだ温かなものが残っています。
「あの冬の大三角の左のがこいぬ座、したのがおおいぬ座だね」
ぽかぽかとあったかくて――
「おおいぬはオリオンが飼っていた犬で――」
お兄ちゃんが星座の説明をしてくれています。
とっても綺麗な星空の下で
あったかくて甘いココアを飲んで
お兄ちゃんの優しい声――
ああ
ユキは今、とってもしあわせです――…
……
………………
「あれ、ユキ?」
こてんと寄りかかってきたユキのほうを向くと、ユキはすやすやと眠っていた。
「あらら、退屈だったかな…いや、もう限界だったのかも」
時計を見ると、日付変更にはまだまだ十分に時間があるものの
ユキには起きているのがつらいだろう時間になっていた。
コーヒーは効かなかったみたいで――
いや、効いてしまって眠れなくなるよりは良いのかもしれない。
「おやすみ、ユキ」
ユキを起こさないようにそっと背負う。
自転車は置いていくことにしよう。
ユキを背負ったまま自転車を押すのは少々きつい、あとで取りにくればいいだろう。
「さて、ユキが寒がる前にさっさと帰るとしますか」
背中にユキの温かさを感じながら、家への道を速足で歩く。
「お帰り」
「あれ?みぞ姉?」
家も目前、門柱の明かりに照らされて、誰かがいるなぁと思っていたら…
その影はみぞ姉だった。
「どうしたんですみぞ姉?寒くないんですか?」
「いや平気だ――お前が買ってきてくれたものがあれば」
「……ああ、わかりました」
この人はそれだけのために外で待っていたのだろうか。
「おしるこは俺の上着のポケットに入ってます」
よくやった弟よ、とみぞ姉は俺のポケットに手をつっこむ
「この状態で買うの大変だったんですよ…?」
聞いちゃいなかった、みぞ姉はおしるこ缶を俺のポケットから見つけて満足そうだ。
「お前も疲れただろう、ユキは私がベッドまで連れて行こう」
おしるこ缶が熱くなければ、それに頬ずりしてそうな霙姉がそんな提案をする。
「あとちょっとなんで俺が連れていきますよ、ユキも起きるかもしれないですし…」
「いやよく寝ている、大丈夫だろう、おしるこのお礼だ」
そう言うとみぞ姉は背中のユキをするりと受けとる。
さすがに年長者なだけあってこのあたりの子供の扱い方は上手だった。
背中にあった暖かさが無くなって、ちょっとさびしく思っている間にみぞ姉は玄関へと向かっていってしまった。
慌てて後を追いかけようとしたその時。
「ああそうだ、言い忘れていたが――」
玄関のドアに手をかけたみぞ姉がこっちを振り向く
「すまん、ばれた」
「……え?」
あっさりと言い放ったその言葉の意味は、直後みぞ姉が開けたドアの中を見て理解した。
「ユキ!と霙姉様、お帰りなさい」
そこには氷柱がいた、仁王立ちで、気のせいでなければ後ろに鬼も見える。
「ああただいま、私はこのまま綿雪をベッドまで運んで行くが、氷柱はどうする?」
「私もすぐ行くわ……ちょっと下僕と話をしてからね」
「すぐ――か、まあこの時間だ。大声を出さないようにな?」
「ええ――」
ドアが閉められて、玄関から漏れていた暖かい家の光と話し声が途切れる。
ひとりで立つ玄関はとても淋しかった。
言い忘れていたってみぞ姉、おしるこを先に奪っておいて……
……はぁ。
さて、覚悟を決めますか。
このまま寒空の下に立っていても仕方がない。
ドアの取手に手をかける、異様に重たく感じる。
鍵をかけられていないだけありがたいかも、と思っている自分がそこにいた。
「おかえり下僕――なにか言うことは?」
「……ただいま氷柱」
(終)
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吹雪TFSS
さる6月20日にトランスフォーマーリベンジを見に行ってきました。
(まさか日記でこんなことになるとは…)
ブログを放置しっぱなしだったので、リアルタイムで「吹雪と一緒にトランスフォーマーを見に行った」という想像しながら書いていたものを載せます。
携帯でがしがし書いていたため所々間が飛んでいたり途切れたようになっています。
なので若干手を加えてみました。
(まさか日記でこんなことになるとは…)
ブログを放置しっぱなしだったので、リアルタイムで「吹雪と一緒にトランスフォーマーを見に行った」という想像しながら書いていたものを載せます。
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なので若干手を加えてみました。