つりがね草
- SS置き場です。 9割方BabyPrincessの二次創作になります。
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連載:キュウビの話その3
キュウビの話その1・その2
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キュウビは入ってすぐの場所で足を止めていた。
初めて入る部屋にキョロキョロと不思議そうに首を巡らせて、
部屋の匂いを嗅いで確認しているようだった。
慣れない場所だからだろうか、だとしたなら俺としてはキュウビが満足してくれるまでどうしようも出来ない。
とりあえず、ベッドの横の開けた床スペースに腰をおろして待つことにする。
待っている間キュウビはベットに飛び乗ってふとんに潜り込んだり、
とことこと歩いてはクンクンと匂いを嗅ぎ、またとことこと違うところへ。
ひとしきり確認をした後、キュウビは最終的に俺の前にちょこんと再び座ったのだった。
……もう大丈夫なのかな?
「それで――キュウビは俺に何か用?」
と、聞いたところで、こうして真面目にキュウビに話しかけている自分が実に不思議でおかしいものに思えた。
キュウビは、こういう言い方はあれだが、ペットのようなものだ。
もっと雑然に扱われても仕方の無い存在ではある。
ドアの前にいたときに締め出すと言う選択肢や、
キュウビが落ち着くまで待つということをわざわざしてやる必要はなかった。
しかし俺はキュウビに対してそんなことはしないし、したくなかった。
俺は少なからず――自分と同じ人に対して持つような敬意と親愛を、キュウビに抱いてた。
ペットと言いたくないのもそのせいなのだろう。
この小さなキツネを、当然のように家族と思っているのだった。
今更気づいたこの事実に少し苦笑をしてしまう。
突如顔を歪ませた相手を見てキュウビには不審に思えたことだろう。
と同時に。ふと疑問が湧き上がる。
キュウビは俺の言う事を理解できるのだろうか?
少なくとも、観月の言うことは理解出来ている様子だったけど……
「クゥン…」
様子を伺っているとキュウビが鳴き声を発した。
これは……語りだしたのだと思う。
どうやら言葉も通じているようだった。
「ココン、キューンキュウン、クワァウ?」
「うんうん」
「コンコン、コココン」
「なるほど」
「キューン、キュウン?」
「ははは、なに言ってるのか全然分かんないや」
「ココーン!」
「わ、ごめんごめん、ね?」
こういう時のお約束だ。
しかし当然の話だった、逆もまた然りとはいかないものだった。
「しょうがない……観月に通訳してもらうしかないか」
「!コォン!!」
俺がそう言って腰を浮かすやいなや、キュウビはドアの前に回り込んで威嚇するポーズを取ったのだった。
「あ、あの?」
毛を逆立てるまでとはいかないものの、首を振ってイヤイヤしている。
この反応は――
「観月には……ナイショってこと?」
「コン!」
今度は縦に首を振る。
…なるほど、こういうふうに確認していけばいいのか。
こうして試行錯誤すること数十分。
ついにキュウビの目的を知ることが出来た。
「――つまり、『観月の誕生日をお祝いしたいから、プレゼントを取ってくるのに協力して欲しい』ということ?」
「キュウーンv」
キュウビは飛び上がらんばかりの喜びようだった。
やっと答えが出た、長かった…ふぅと一息。
「それで、どこに取りに行くんだ?」
つい、はいかいいえで答えられない質問をしてしまった。
あわてて言い直そうとするとキュウビは――
「コーン」
つい、と部屋のある方向を向いた。
そっちは確か――
「……裏山?」
「コン」
キュウビはやっぱり、首を縦に振ったのだった。
(続く)
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キュウビは入ってすぐの場所で足を止めていた。
初めて入る部屋にキョロキョロと不思議そうに首を巡らせて、
部屋の匂いを嗅いで確認しているようだった。
慣れない場所だからだろうか、だとしたなら俺としてはキュウビが満足してくれるまでどうしようも出来ない。
とりあえず、ベッドの横の開けた床スペースに腰をおろして待つことにする。
待っている間キュウビはベットに飛び乗ってふとんに潜り込んだり、
とことこと歩いてはクンクンと匂いを嗅ぎ、またとことこと違うところへ。
ひとしきり確認をした後、キュウビは最終的に俺の前にちょこんと再び座ったのだった。
……もう大丈夫なのかな?
「それで――キュウビは俺に何か用?」
と、聞いたところで、こうして真面目にキュウビに話しかけている自分が実に不思議でおかしいものに思えた。
キュウビは、こういう言い方はあれだが、ペットのようなものだ。
もっと雑然に扱われても仕方の無い存在ではある。
ドアの前にいたときに締め出すと言う選択肢や、
キュウビが落ち着くまで待つということをわざわざしてやる必要はなかった。
しかし俺はキュウビに対してそんなことはしないし、したくなかった。
俺は少なからず――自分と同じ人に対して持つような敬意と親愛を、キュウビに抱いてた。
ペットと言いたくないのもそのせいなのだろう。
この小さなキツネを、当然のように家族と思っているのだった。
今更気づいたこの事実に少し苦笑をしてしまう。
突如顔を歪ませた相手を見てキュウビには不審に思えたことだろう。
と同時に。ふと疑問が湧き上がる。
キュウビは俺の言う事を理解できるのだろうか?
少なくとも、観月の言うことは理解出来ている様子だったけど……
「クゥン…」
様子を伺っているとキュウビが鳴き声を発した。
これは……語りだしたのだと思う。
どうやら言葉も通じているようだった。
「ココン、キューンキュウン、クワァウ?」
「うんうん」
「コンコン、コココン」
「なるほど」
「キューン、キュウン?」
「ははは、なに言ってるのか全然分かんないや」
「ココーン!」
「わ、ごめんごめん、ね?」
こういう時のお約束だ。
しかし当然の話だった、逆もまた然りとはいかないものだった。
「しょうがない……観月に通訳してもらうしかないか」
「!コォン!!」
俺がそう言って腰を浮かすやいなや、キュウビはドアの前に回り込んで威嚇するポーズを取ったのだった。
「あ、あの?」
毛を逆立てるまでとはいかないものの、首を振ってイヤイヤしている。
この反応は――
「観月には……ナイショってこと?」
「コン!」
今度は縦に首を振る。
…なるほど、こういうふうに確認していけばいいのか。
こうして試行錯誤すること数十分。
ついにキュウビの目的を知ることが出来た。
「――つまり、『観月の誕生日をお祝いしたいから、プレゼントを取ってくるのに協力して欲しい』ということ?」
「キュウーンv」
キュウビは飛び上がらんばかりの喜びようだった。
やっと答えが出た、長かった…ふぅと一息。
「それで、どこに取りに行くんだ?」
つい、はいかいいえで答えられない質問をしてしまった。
あわてて言い直そうとするとキュウビは――
「コーン」
つい、と部屋のある方向を向いた。
そっちは確か――
「……裏山?」
「コン」
キュウビはやっぱり、首を縦に振ったのだった。
(続く)
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