つりがね草
- SS置き場です。 9割方BabyPrincessの二次創作になります。
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7「くらいのは――その2」
みぞ姉日記風SSです。
みぞ姉はみぞ姉って略したいのだ。
=============
ふむ
当然だが――
どちらかと言えば、私は暗いのが好きだ。
チビたちのように、燦々と輝く太陽の下で元気に遊ぶよりは――
木陰の下
家の中
そんなところで本でも読んでいる方が性にあっているし、
夜の闇の中で思いを巡らしたりするのが好きだ。
暗い方が落ち着く――
……
光の届かない世界。
光がなければ何も見えない――
観測出来なければ、そこに物は存在しない。
――何も無い世界だ。
そして、その何もない闇の中に一人佇む自分――
それはまさに、宇宙に浮かぶ塵と同じだ。
そうだな、
オマエも夜寝る前に部屋の明かりを消して、じっと目を瞑ってみろ。
脱力して、何も考えずに――
……寝るなよ?
そうしていれば、次第に視覚でない他の感覚が鋭敏になってくる。
自分の内と外とが一つに溶け合って、
闇の中に自分がじわりと溶け込んでいくような穏やかな感覚――
これが明るいと感じ取れない。
怖がりな春風と違って、私が暗闇を厭うわけがないだろう?
ところが――
真の闇と言うのは存在しない。
この宇宙にも、
命を熱と光に変えて、周りへ振りまいている奴もいる。
そう、オマエみたいな――な。
オマエみたいな光は――
好きだ
嗚呼――
終末の日にはどちらで満ちるんだろうか?
全てを白紙に戻すような眩い白光か
それさえも消して飲み込む、一切の闇か?
気になる――
……
今から試してみないか?
オマエが勝つか、私が勝つか――
フフ――
遠慮はいらないぞ?
みぞ姉はみぞ姉って略したいのだ。
=============
ふむ
当然だが――
どちらかと言えば、私は暗いのが好きだ。
チビたちのように、燦々と輝く太陽の下で元気に遊ぶよりは――
木陰の下
家の中
そんなところで本でも読んでいる方が性にあっているし、
夜の闇の中で思いを巡らしたりするのが好きだ。
暗い方が落ち着く――
……
光の届かない世界。
光がなければ何も見えない――
観測出来なければ、そこに物は存在しない。
――何も無い世界だ。
そして、その何もない闇の中に一人佇む自分――
それはまさに、宇宙に浮かぶ塵と同じだ。
そうだな、
オマエも夜寝る前に部屋の明かりを消して、じっと目を瞑ってみろ。
脱力して、何も考えずに――
……寝るなよ?
そうしていれば、次第に視覚でない他の感覚が鋭敏になってくる。
自分の内と外とが一つに溶け合って、
闇の中に自分がじわりと溶け込んでいくような穏やかな感覚――
これが明るいと感じ取れない。
怖がりな春風と違って、私が暗闇を厭うわけがないだろう?
ところが――
真の闇と言うのは存在しない。
この宇宙にも、
命を熱と光に変えて、周りへ振りまいている奴もいる。
そう、オマエみたいな――な。
オマエみたいな光は――
好きだ
嗚呼――
終末の日にはどちらで満ちるんだろうか?
全てを白紙に戻すような眩い白光か
それさえも消して飲み込む、一切の闇か?
気になる――
……
今から試してみないか?
オマエが勝つか、私が勝つか――
フフ――
遠慮はいらないぞ?
6「くらいのは――その1」
性懲りも無くさくら日記風SSです。
さくらは難しいですね……
くらいシリーズは3部作を予定しています。
===========
まっくら
まっくら
よるは――まっくらでいっぱい。
おそともまっくら。
おうちの中もまっくら――
さくらのよく知ってるお部屋の中もぜんぜん違うふうに見えるの。
なんだかふしぎ。
でも――
まっくらだと、
さくらのおてても
お姉ちゃんのおかおも
お兄ちゃんのおかおもよくみえなくて――
グスッ
くらいのは
くらいのは――こわい。
なんだかこわいの――
おにいちゃんは、へいき?
さくらが見えなくてもへいき?
さくらは、や。
お兄ちゃんがちゃんと側にいてくれないと、や!
だって、だって、
おばけがいるから――
まっくらなとこには、こわいこわいおばけがいるの。
おへやのすみっこに、カーテンのむこう側に、
開けっぱなしにしちゃったドアから、おばけがじっとさくらを見てて――
さくらはお布団を頭まですっぽりかぶって
ぎゅって目をつぶって、
さくらはおいしくないおいしくないよって言うんだけど――
おばけの手がにゅるにゅる伸びてきて、
ぐるぐるさくらを捕まえちゃう――
うぇぇぇーん!
――お兄ちゃん。
あのね?
お兄ちゃんの側なら、さくらは大丈夫なの。
だから――お兄ちゃんのお布団に行っても、いい?
さくらは難しいですね……
くらいシリーズは3部作を予定しています。
===========
まっくら
まっくら
よるは――まっくらでいっぱい。
おそともまっくら。
おうちの中もまっくら――
さくらのよく知ってるお部屋の中もぜんぜん違うふうに見えるの。
なんだかふしぎ。
でも――
まっくらだと、
さくらのおてても
お姉ちゃんのおかおも
お兄ちゃんのおかおもよくみえなくて――
グスッ
くらいのは
くらいのは――こわい。
なんだかこわいの――
おにいちゃんは、へいき?
さくらが見えなくてもへいき?
さくらは、や。
お兄ちゃんがちゃんと側にいてくれないと、や!
だって、だって、
おばけがいるから――
まっくらなとこには、こわいこわいおばけがいるの。
おへやのすみっこに、カーテンのむこう側に、
開けっぱなしにしちゃったドアから、おばけがじっとさくらを見てて――
さくらはお布団を頭まですっぽりかぶって
ぎゅって目をつぶって、
さくらはおいしくないおいしくないよって言うんだけど――
おばけの手がにゅるにゅる伸びてきて、
ぐるぐるさくらを捕まえちゃう――
うぇぇぇーん!
――お兄ちゃん。
あのね?
お兄ちゃんの側なら、さくらは大丈夫なの。
だから――お兄ちゃんのお布団に行っても、いい?
5「さくらさくら」
観月SSです。
=======
――さくら さくら
のやまもさとも
みわたすかぎり――
む?兄じゃ。聞いておったのかの?
ふむ……どうじゃったかの?わらわの歌は――
上手かったかの?
フフ――
嬉しいのじゃ兄じゃ♥
またわらわの歌が聞きたくなったらいつでも言うのじゃ!
――この歌のように
見渡す限り桜の花が咲いておったら、それはどんなに素晴らしい景色かのう♥
わらわは兄じゃに肩車をしてもらって、そこを一緒に散歩するのじゃ!
うむ!
きっと、幸せいっぱいじゃぞ?
じゃが――
今年はなかなかお花見の天気に恵まえなかったのじゃ。
冬に逆戻りしたような寒い日が続いて、しまいには春の雪が空からちらりと下りてきて
姉じゃ達はわらわ達の服装をどうしようかと、気まぐれな天気にあたふたしているうちに――
桜はすっかり、散ってしまった。
――今はもう葉桜じゃ。
桜の下で酒宴をはる山の物の怪も、どこか悲しそうにしておった。
……。
口惜しいのう。
わらわも家族皆でするお花見を楽しみにしていたのじゃ。
薄紅に染まる満開の桜、涼やかな風がそれを散らして
その下で食べる蛍姉じゃの特製のお弁当――
重箱に入った甘い卵焼きが……
……むう、違うのじゃ兄じゃ!
花見は本来、端見と書くのじゃ。
端とは先触れの意味――
予祝のことじゃ。
何の予祝かと言うとの?
実はの、稲の豊作祈願の予祝なのじゃ。
サオリ、サツキ、サミダレ、サナエ、サヲトメ、サナブリ――そしてサクラ
すべて頭に「サ」が付く仲間じゃ。
この「サ」は神を意味していての、共に田植えの神事を行うべき期間を示しているのじゃ。
つまり花見には神をもてなすという意味もあっての
神と人とが飲食を共にし、酒を酌み交わし、芸能を行い神を楽しませる。
これが本来のお花見なのじゃ。
じゃから――
花より団子でも良いのじゃぞ?
もちろん花を見るのも良いことじゃ。
何事もほどほどが一番なのじゃ。
うむ。
それで、兄じゃはどっちを選ぶのじゃ?
花か、団子か――それともわらわか
どれが一番好きかの?
フフフ♥
兄じゃがわらわの事を選んでくれたら、わらわは兄じゃを想って歌を贈るのじゃ♥
=======
――さくら さくら
のやまもさとも
みわたすかぎり――
む?兄じゃ。聞いておったのかの?
ふむ……どうじゃったかの?わらわの歌は――
上手かったかの?
フフ――
嬉しいのじゃ兄じゃ♥
またわらわの歌が聞きたくなったらいつでも言うのじゃ!
――この歌のように
見渡す限り桜の花が咲いておったら、それはどんなに素晴らしい景色かのう♥
わらわは兄じゃに肩車をしてもらって、そこを一緒に散歩するのじゃ!
うむ!
きっと、幸せいっぱいじゃぞ?
じゃが――
今年はなかなかお花見の天気に恵まえなかったのじゃ。
冬に逆戻りしたような寒い日が続いて、しまいには春の雪が空からちらりと下りてきて
姉じゃ達はわらわ達の服装をどうしようかと、気まぐれな天気にあたふたしているうちに――
桜はすっかり、散ってしまった。
――今はもう葉桜じゃ。
桜の下で酒宴をはる山の物の怪も、どこか悲しそうにしておった。
……。
口惜しいのう。
わらわも家族皆でするお花見を楽しみにしていたのじゃ。
薄紅に染まる満開の桜、涼やかな風がそれを散らして
その下で食べる蛍姉じゃの特製のお弁当――
重箱に入った甘い卵焼きが……
……むう、違うのじゃ兄じゃ!
花見は本来、端見と書くのじゃ。
端とは先触れの意味――
予祝のことじゃ。
何の予祝かと言うとの?
実はの、稲の豊作祈願の予祝なのじゃ。
サオリ、サツキ、サミダレ、サナエ、サヲトメ、サナブリ――そしてサクラ
すべて頭に「サ」が付く仲間じゃ。
この「サ」は神を意味していての、共に田植えの神事を行うべき期間を示しているのじゃ。
つまり花見には神をもてなすという意味もあっての
神と人とが飲食を共にし、酒を酌み交わし、芸能を行い神を楽しませる。
これが本来のお花見なのじゃ。
じゃから――
花より団子でも良いのじゃぞ?
もちろん花を見るのも良いことじゃ。
何事もほどほどが一番なのじゃ。
うむ。
それで、兄じゃはどっちを選ぶのじゃ?
花か、団子か――それともわらわか
どれが一番好きかの?
フフフ♥
兄じゃがわらわの事を選んでくれたら、わらわは兄じゃを想って歌を贈るのじゃ♥
4「せなか」
綿雪SSです。
================
何となく床に座りながら本などを読んでいたら、
「お兄ちゃん」
「ん?綿雪?」
ふいに綿雪が名前を呼びながら後ろから首に腕を回して、ぴったりと背中にくっついてきた。
そしてそのままじっと背中に抱きついている。
「えっと、ユキ――」
「どうですかお兄ちゃん?」
背中越しの会話、綿雪の声が耳元で聞こえてくる。
「どうって?うーん……ユキは軽いね?」
「もう、そうじゃないです!」
ぎゅっとユキが背中に体重をかけてくる、それでも苦しくなくてとっても軽い。
「吹雪ちゃんが教えてくれたんです」
「うん、なにを?」
「『カーディガンを羽織って背中をあっためるだけで、感じる寒さは大きく変わります』って」
「へぇ、そうなんだ」
きっとユキがベッドから起きるときに、吹雪がカーディガンをかけてあげたりしたのだろう。
そんな光景が目に浮かぶ。
「それで、お兄ちゃんの背中が少し寒そうに見えたのですが、ユキのカーディガンじゃお兄ちゃんの背中にはちっちゃいから――」
ユキの長くてやわらかい髪がはらりと流れ、視界に入ってくる。
とても良い香りがするのだけど、髪が首をくすぐってちょっとこそばゆい。
「ユキがお兄ちゃんをあっためようと思ったんです」
なるほど、それで――
「それでお兄ちゃん、あったかくなりましたか?」
「――うん、ユキのおかげですごくあったかいよ、ありがとう」
ユキが抱きついている背中はユキの温かさで、もうぽっかぽかだ。
「えへへ、よかったですv」
抱きつく力がちょっと強くなった。
「うん、じゃあユキにお礼しないとね?」
「え?」
読んでいた本を一旦脇において、俺の足の間に座れるように、ももをぽんぽんと叩いてユキを促す。
「さあユキ、こんどは俺がユキをあっためる番」
「いいんですか?」
「もちろん!」
さっきと逆に、ユキの背中が俺にくっつく。
腕は首にではなく、そのままユキの体を抱きしめるように。
俺の顎がユキの頭の上に来て――
ちょうど、ユキが俺にすっぽりと包まれる形だ。
「どうユキ?」
「ええと――お兄ちゃんはちょっと重いです」
「あ、ごめん…ってユキ?」
ちょっと力を弱めようとして、仕返しされたことに気付く。
「ウフフvでもユキの好きな、お兄ちゃんの重さですv」
弱めようとした力を追いかけるようにユキが寄りかかって、胸に頭を押し付けてくる。
「それに、お兄ちゃんもとってもあったかいです」
「さっきユキが温めてくれたおかげだよ?」
「ありがとうございます、ユキは今、なんだかとってもしあわせです――v」