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つりがね草

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4「せなか」


綿雪SSです。
================

何となく床に座りながら本などを読んでいたら、
「お兄ちゃん」
「ん?綿雪?」
ふいに綿雪が名前を呼びながら後ろから首に腕を回して、ぴったりと背中にくっついてきた。
そしてそのままじっと背中に抱きついている。

「えっと、ユキ――
「どうですかお兄ちゃん?」
背中越しの会話、綿雪の声が耳元で聞こえてくる。
「どうって?うーん……ユキは軽いね?」
「もう、そうじゃないです!」
ぎゅっとユキが背中に体重をかけてくる、それでも苦しくなくてとっても軽い。

「吹雪ちゃんが教えてくれたんです」
「うん、なにを?」
「『カーディガンを羽織って背中をあっためるだけで、感じる寒さは大きく変わります』って」
「へぇ、そうなんだ」
きっとユキがベッドから起きるときに、吹雪がカーディガンをかけてあげたりしたのだろう。
そんな光景が目に浮かぶ。
「それで、お兄ちゃんの背中が少し寒そうに見えたのですが、ユキのカーディガンじゃお兄ちゃんの背中にはちっちゃいから――
ユキの長くてやわらかい髪がはらりと流れ、視界に入ってくる。
とても良い香りがするのだけど、髪が首をくすぐってちょっとこそばゆい。
「ユキがお兄ちゃんをあっためようと思ったんです」
なるほど、それで――
「それでお兄ちゃん、あったかくなりましたか?」
――うん、ユキのおかげですごくあったかいよ、ありがとう」
ユキが抱きついている背中はユキの温かさで、もうぽっかぽかだ。
「えへへ、よかったですv」
抱きつく力がちょっと強くなった。


「うん、じゃあユキにお礼しないとね?」
「え?」
読んでいた本を一旦脇において、俺の足の間に座れるように、ももをぽんぽんと叩いてユキを促す。
「さあユキ、こんどは俺がユキをあっためる番」
「いいんですか?」
「もちろん!」


さっきと逆に、ユキの背中が俺にくっつく。
腕は首にではなく、そのままユキの体を抱きしめるように。
俺の顎がユキの頭の上に来て――
ちょうど、ユキが俺にすっぽりと包まれる形だ。

「どうユキ?」
「ええと――お兄ちゃんはちょっと重いです」
「あ、ごめんってユキ?」
ちょっと力を弱めようとして、仕返しされたことに気付く。
「ウフフvでもユキの好きな、お兄ちゃんの重さですv」
弱めようとした力を追いかけるようにユキが寄りかかって、胸に頭を押し付けてくる。
「それに、お兄ちゃんもとってもあったかいです」
「さっきユキが温めてくれたおかげだよ?」
「ありがとうございます、ユキは今、なんだかとってもしあわせです――v」

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